前任者が残したExcelマクロが解読できない・動かない
先に中身を読もうとせず、①マクロ入りのファイルを数える ②今も使われているか ③そもそも動くか、の順に棚卸しします。読むのは、絞り込んだ残りからで構いません。
VBA(マクロを書くための言語)が読めなくても、コードをAIに貼り付けて「日本語で説明して」と頼めば見当はつけられます。
動かないものは、原因を突き止めるより、必要な出力から作り直すほうが早いことがあります。
- マクロ入りのファイルを数える(拡張子で絞る)
- 今も使われているかで3つに仕分ける
- コピーを有効化せずに開き、コードを取り出す
- AIに貼って日本語で説明させる
- 説明を確かめてから、コピーで動かす
- 出所が分からないマクロは有効化しない(赤い帯は情報システム部門へ)
- 残す・作り直す・捨てるが決まれば完了
引き継ぎ資料がないまま退職者のブックだけが残り、開いていいのかも分からない。つまずくのは先にコードを読もうとしたときで、読む前に数を減らします。
※2026年8月時点のMicrosoft等の公式資料に基づき、Windows 11のパソコン版Excelを前提に説明しています。Windows 10で操作が変わる箇所は手順の中で補足します。機種・バージョンにより画面の表記が異なる場合があります。

1マクロが入っているファイルを数える
マクロを持てるのは、末尾が「m」の .xlsm .xltm とアドインの .xlam(拡張子)、古い形式の .xls .xlsb .xla(対応形式)で、「x」で終わる .xlsx などには入れられません。
- 検索ボックスに ext:=".xlsm" と = を付けて入力する
- 拡張子が見えないときは 表示 → ファイル名拡張子 にチェック(Windows 10は「表示」タブの中)
- 検索が止まる共有フォルダーは「種類」の列で並べ替える
- ファイル → オプション → アドイン で前任者のアドインも見る
= を省くと前方一致になり .xlsx まで出ます(検索の書き方)。
前任者のパソコンにしか無いマクロもあります。個人用マクロブック(Personal.xlsb)は開くたび読み込まれるので(公式の説明)、ブックにコードが無いのに動いていたなら、端末が残るうちに情報システム部門へ相談します。
2今も使われているかで仕分ける
コードは見ずに、更新日時・成果物の日付・関係者への一言で3つに分けます。
- ① 定期的に使う — 誰かが「毎月押しています」と言えるもの。
- ② たまに使う — 決算や年度切り替えなど、年に1回程度。
- ③ 誰も使っていない — 更新日が古く、利用者を名指しできないもの。読む対象から外します(消すのは後)。
開く前に: 出所が分からないマクロは有効化しない
マクロは悪意のあるプログラムを配る手口にも使われ、Microsoftはインターネット経由で入手したファイルのマクロを既定でブロックします(ブロック)。「セキュリティ リスク」の帯(「コンテンツの有効化」ボタンが無い帯)が出たら、まず情報システム部門に相談してください。「プロパティ」の「ブロック解除」は出所を自分の言葉で説明できるファイルだけの操作で、「すべてのマクロを有効にする」への変更もMicrosoftは推奨していません(有効と無効)。
3コピーを有効化せずに開いて、コードを取り出す
- 原本ではなくコピーを別のフォルダーに作って開く
- 帯が出ても「コンテンツの有効化」は押さない
- 開発タブの「Visual Basic」を開く(Altキーを押しながらF11でも開く)
- 左のプロジェクト欄(出ていなければCtrlキーを押しながらR)の項目を1つずつコピーする
開いた時点で動き出すマクロもあるため原本には触らず、読むだけなら有効化は要りません。ボタンが無い赤い帯のときは前の節に戻ります。「開発」タブが無ければ「リボンのユーザー設定」で追加します(開発タブ)。
コードは1か所にまとまっていません。ThisWorkbook の Workbook_Open が「開いた瞬間に動く」部分で、名前を選んで実行するマクロの一覧には出ないので(自動実行)、一覧が空でも「マクロは無い」とは限りません。
パスワードを求められて開けないときは表示のロックの可能性があり(保護の設定)、知る人が退職していれば手順6の「作り直す」に回します。
4AIにVBAを貼って、日本語で説明させる
貼り付ける前に社内ルールを確認し、取引先名・氏名・メールアドレスを 会社A 担当者B に置き換えます(個人情報保護委員会も生成AIの利用に注意喚起)。どこから取ったコードかを書き添えて、まとめて貼ります。
1. 何をするマクロかを説明させる
あなたはExcelのVBAに詳しい人です。
これは前任者が残したマクロで、私はVBAを読めません。
次のコードについて、専門用語をなるべく使わずに日本語で説明してください。
1. 結局なにをするマクロか1文で、次に上から順の流れを箇条書きで
2. 触っているファイル・シート・セル範囲・保存先の一覧
3. 元に戻せない操作(上書き保存・削除・送信など)があれば、その行と理由
4. 前任者のパソコンでしか動かない可能性がある箇所
(決め打ちの保存場所、特定のファイル名、外部の部品への依存)
5. コードだけでは分からないので、私が社内で確認すべきこと
--- ここからコード ---
【ここにVBAを貼り付け】
--- ここまで ---
動かないマクロは、次の頼み方でエラーから原因を絞ります。
2. 動かない原因を絞らせる
次のVBAを実行したら、下のエラーが出ました。
考えられる原因を、可能性の高い順に3つまで挙げてください。
それぞれ、私が画面上で確認する手順を、どこを押すかまで書いてください。
書き換えを提案する場合は、書き換える前の行と後の行を並べて示してください。
エラーの文言: 【画面に出た文言をそのまま】
止まった行 : 【黄色く強調されていた行】
--- ここからコード ---
【ここにVBAを貼り付け】
--- ここまで ---
AIの説明はコードの言い換えなので、業務上なぜその処理が要るのかまでは分かりません(頼み方のコツ、答えの確かめ方)。
5説明を確かめてから、コピーで動かす
- 上書き保存・削除・送信など元に戻せない操作が挙がっていたら、社内で確認できるまで実行しません。
- コピーで守れるのは、いま開いているそのファイルだけです。別の場所への保存・削除・送信は同じように起こるので、迷ったら情報システム部門に相談します。
- 実行してエラーが出たら、文言をそのままと黄色く強調された行を控え、2つ目の依頼文に渡します。
6残す・作り直す・捨てるを決める
- 動いて、説明できるもの
- 1つ目の答えを引き継ぎメモに
- ブックと同じ場所に置く
- 使われているのに動かない
- 読めない・ロックされている
- 復元ではなく必要な出力から
- 使う人がいないもの
- 社内の保存ルールを確認
- 「休止」フォルダーへ移して日付
作り直しの進め方は自動化の始め方にあります。捨てる分はいきなり削除せず、誰も困らなければ上長の指示に従って処分します。
【マクロ棚卸し表】
ファイル名 / 置き場所 / 最終更新日 / 使っている人 / 使う頻度
/ 開けたか / 動いたか / エラーの文言 / 判断
それでも進まない時のチェックリスト
前任者のコードを全部読める必要はありません。残すものを決めて、その分だけ説明できる状態にするまででかまいません。