子どもが物を片付けてくれなくて家が散らかる
■ 先に結論
物ごとの戻し先(住所)を子どもと一緒に決め、ふたや袋をやめて「放り込むだけ」の一動作にします。
そのうえで「片付けて」を、「そのブロックを青いかごに入れて」のように、どれを・どこに・どうする、が入った言葉に置き換えます。
毎日戻すだけで精一杯になるのは、なぜか
リビングにも個室にも物が出ていて、大人が戻すだけで一日が終わる。片づけの話題では、この「戻すのは大人だけ」という状態が繰り返し出てきます。
見るのは散らかった状態ではなく、「戻す」という動作が今どれくらいの手間になっているかです。出しっぱなしの物を手に取り、戻す動きをなぞると、たいてい次のどれかに当たります。
- 住所が決まっていない。 どこに戻すかが大人の頭の中にしかなく、子どもの側からは「決まっていない場所」に見えていることがあります
- 戻すのに手数が多い。 ふたを開ける、袋の口を広げる、上の物をどける、別の部屋まで運ぶ。この四つが重なる場所には、物はなかなか戻りません
- 入れ物より物の量が多い。 満杯の箱には物理的に入りません。頑張りでは動かない詰まりです
- 言葉が抽象的なままになっている。 「片付けて」には、どれを・どこに・どうする、が一つも入っていません
この記事では、この四つを上から順に見ていきます。上にあるものほど、直すと戻る量が変わりやすい順に並べています。
※本記事で紹介する公的機関などの資料の内容は2026年8月時点のものです。最新の内容はリンク先で確認してください。
手順1: 一か所に絞って、1軍と2軍に分ける
- 手をつける場所を一か所だけ選ぶ。 家全体ではなく、「リビングの床」「机の上」のように目で範囲が分かる一か所に絞ります。ここが片付いてから次へ移ります。
- 出ている物を1軍と2軍に分ける。 1軍=この一週間で使った物、2軍=それ以外。迷った物は「保留箱」に入れて先へ進みます。捨てるかどうかはここでは決めません。保留箱の側面には「◯月◯日に見直す」と日付を書いておき、その日が来たら手放すか2軍の箱へ回します。保留箱の作り方と、開ける日付の決め方は 物が捨てられない・捨てたあとに後悔してしまう にまとめています。
手順2: 住所を決めて、戻す動作を一手にする
- 1軍の住所を、子どもと一緒に決める。 「これはどこにあると出しやすい?」と聞いて決めます。大人だけで決めた住所は、子どもには覚えのない場所になりがちです。決めたらその場で一度、出して戻します。
- 戻す動作を一手にする。 ふたを外す、袋をやめる、口の広い箱にする、棚の段を子どもの手が届く高さにする。「取り出す1手・戻す1手」で済む形になるまで入れ物を変えます。ただし細かい部品が入る箱だけは例外で、下の子がいる家庭では下の子の手が届かない高さに置きます(理由は後の「小さな部品の置き場所」)。
- 住所を目に見える形にする。 箱の正面に中身の名前を貼ります。字を読まない場合は、おもちゃの空き箱やパッケージの絵を切り取って貼るか、色つきのテープで箱ごとに色を分けます(写真を印刷できる家庭は中身の写真でもかまいません)。
- 入れ物に余裕を残す。 押し込まないと入らない箱は、戻すのに「上の物をどける・すき間を作る・押し込む」が増えて、子どもの手では一手で終わりません。上から放り込んで跳ね返らないかを目安にします。入りきらなくなったら、その箱の中身を1軍と2軍に分け直します。
手順3: 2軍の入れ替えと、毎日の声かけを決める
- 2軍の置き場と、入れ替える日を決める。 2軍は別の箱にまとめて押し入れなどへ。「毎月第1日曜」と日を決め、その日に、1軍で1か月使わなかった物を2軍の箱へ、2軍から遊びたい物を1軍へ、同じ数だけ入れ替えます。数をそろえると、1軍の入れ物が満杯になりません。
- 声かけを具体的な言葉に置き換える。 「どれを」「どこに」「どうする」の三つを言葉に入れます(下に一覧を置きました)。
- 戻す時間を一日一回だけ置く。 「夕食の前」「お風呂の前」のように、毎日決まってある出来事に結び付けます。終わりはタイマーの音で区切ります。「全部片付くまで」にすると終わりが決まらず、途中でやめた時に何も戻りません。
声かけの言い換え例
冷蔵庫や壁に貼る用です。家の物の名前に書き換えてください。
【言い換えの例】
「片付けて」
→ 「そのブロックを、青いかごに入れて」
「散らかってるよ」
→ 「床にある絵本を、本棚の下から2段目に戻して」
「早く片付けなさい」
→ 「タイマーが鳴るまでに、机の上の物を引き出しに入れて」
【言い換えの型】
「どれを」+「どこに」+「どうする」
一つでも抜けていたら、抜けた分を足す
住所メモと入れ物の条件
【物の住所メモ】(子どもと一緒に書く)
ブロック → リビングの青いかご(ふた無し)
絵本 → 本棚の下から2段目
作った物 → 「作品ボックス」1つだけ
保留 → 保留箱。◯月◯日に見直す
2軍 → 押し入れの箱。毎月第1日曜に入れ替え
【入れ物の条件】
・ふたが無い、または開けたままにできる
・口が広い(のぞき込まずに放り込める)
・子ども本人の手が届く高さにある
・押し込まないと入らない状態にしない
・1種類=1つ。1つの箱に2種類を混ぜない
・細かい部品が入る箱は、下の子の
手が届かない所に置く
小さな部品の置き場所(公的機関の資料で確認できた範囲)
下の子がいる家庭は、手順2で入れ物の高さを決める前に、細かい部品が入る箱だけを分けておきます。以下は公的機関(NITE・こども家庭庁・消費者庁)の資料に書かれている内容です。
- 3歳のこどもの口の直径はおよそ4cmで、ほぼトイレットペーパーの芯の直径と同じ大きさとされています。芯を容易に通過してしまうサイズの物は、すべてこどもが飲み込むリスクがある(製品評価技術基盤機構(NITE)「乳幼児の誤飲事故」)
- 兄弟姉妹のいる家庭では、年上の子が遊んでいるデコレーションシールなどを触っていないか、床などに落としていないか注意を払う。おもちゃが破損して外れた小さな部品や、内蔵されていた磁石(ネオジム磁石)の誤飲事故も報告されている。事例のおもちゃは対象年齢3歳以上のものだった(NITE 同資料)
- 年上のこどものおもちゃには小さな部品が含まれていることがある。商品の対象年齢を守り、対象年齢になるまではこどもの手の届かない所に保管し、遊ばせないようにする(こども家庭庁「窒息・誤飲事故」)
- 3歳未満向けのおもちゃは、2025年12月25日以降に製造・輸入されたものについて、対象年齢などの表示と国の技術基準への適合が義務となり、その証の「子供PSCマーク」が必要になった。それより前に作られた物には付いていない場合がある(消費者庁「『子供PSCマーク』がはじまりました!」)
- STマークはこれとは別で、検査機関の検査で一般社団法人日本玩具協会の玩具安全(ST)基準に合格した玩具に表示できる印。法律で義務づけられたものではなく、玩具業界が推奨するもの。対象年齢が低いSTマーク付きの玩具は、喉に詰まらない大きさである、部品が外れにくい、尖った部分がないなど、安全性をより配慮した設計になっているとされる。対象年齢が高い玩具は、STマークが付いていても小さな部品を含むことがある(消費者庁「子どもが使用する製品に付いているマークの意味」)
そのため、細かい部品が入る箱は、入れ物の条件に挙げた「子ども本人の手が届く高さにある」から外します。資料では、対象年齢になるまでは「こどもの手の届かない所に保管し、遊ばせないようにする」と案内されています。
それでも物が戻らない時のチェックリスト
まず変えるのは、置き場所と入れ物と言葉の三つです。一日で全部やろうとせず、一か所ぶんの住所を決めるところまでで区切ります。