AIに書かせた文章がAIっぽくて不自然になる
AIっぽさは文体の問題に見えて、多くは渡した材料の不足として出ます。書かせる前に、自分が見た場面・数字・固有名詞を渡します。
書かせた後は、各段落にある「誰が書いても同じ」な一文を、自分の実例に差し替えます。
語尾のそろいを1か所崩し、最後の無難なまとめを自分の一行に置き換えると、手ざわりが戻りやすくなります。
なぜ「AIっぽい」と感じるのか
誤字もない、段落も整っている、それなのに読み返すと「自分でなくても書ける文」に見える——引っ越しのあいさつ文でも、フリマの商品説明でも、AIに下書きを任せると同じ手ざわりの文が返ってきます。この「整っているのに不自然」という引っかかりは、文章を仕事や発信で使う人にとっては、そのまま出せるかどうかの分かれ目になります。原因は文章力ではなく、渡した材料と直す場所のほうにあります。
味気なさを分解すると、だいたい次の3つに分かれます。
- 材料が入っていない: 「便利です」「大切です」で終わる文は、あなたの体験・数字・固有名詞が渡っていないときに出ます。AIはあなたが見た場面を知らないので、一般論で穴を埋め、知らないままそれらしい話を作ってしまうこともあります。
- 語尾がそろう: 「〜です。〜ます。〜でしょう。」が等間隔で並ぶと、中身に関係なく機械的に読めます。
- 締めが無難: 「一方で〜も大切です」で終わると、立場を取らないぶん誰の文でもなくなります。
※以下の機能名と設定場所は2026年8月時点の各社公式ヘルプに基づきます。アプリの更新で表記が変わることがあり、機種・アプリの版によって画面が異なる場合があります。
手順1: 書かせる前に、材料を3つ書き出す
- その話について、自分が実際に見た場面を1つ書きます。「先週の火曜、家の郵便受けが開かなかった」のような、時と場所が入った一文です。
- 数字を1つ書きます。回数、金額、分数など何でもかまいません。
- 固有名詞を1つ書きます。店名、機種名、アプリ名、地名など。
この3つは、あなたが渡さないかぎりAIが知りようのない情報です。3つそろわないこともあります。1つでも入れば一般論は減るので、無い項目は空けたまま渡してかまいません。
手順2: 指示文はテンプレをコピペする
Google Workspace の指示文(プロンプト)の公式ガイドは、「ペルソナ(誰として/誰に向けて書くか)・タスク(してほしいこと)・背景情報・形式」の4要素を考慮するよう勧めています(すべてのプロンプトで4つすべてを満たす必要はない、とも書かれています)(参考)。手順1と合わせるとこう書けます。かっこの中は、手順1で書いたものに置き換えてから送ります。
【読者】半年後に同じ作業をする自分
【目的】読んだ人が迷わず同じ手を打てるようにする
【長さ】600字
【形式】見出しなし・段落3つ
【トーン】淡々と。言い切る。感嘆符(!)を使わない
【材料 — これ以外の事実は書かないでください】
・場面: (手順1で書いた一文)
・数字: (手順1で書いた数字)
・固有名詞: (手順1で書いた名前)
埋められない箇所は (要確認) と書いて残してください。
特に効きやすいのが最後の一行で、埋められない箇所を (要確認) として残させると、それらしい作り話が出にくくなります。【長さ】はぴったりにはなりません。目安として渡すものと考えます。
手順3: 出てきた原稿を「一般論の一文」から直す
たとえばAIが出した「フリマアプリでは、商品の状態を正しく伝えることが大切です。」は、誰が書いても同じ一文です。手順1の材料を入れると「前に袖口の毛玉を書き忘れて、受け取り後に質問が2件来ました。」になります。言っていることは近くても、後者には書いた人がいます。
- 出力を読み、「この文、誰が書いても同じでは」と思った文に印を付けます。だいたい各段落の最初か最後にあります。
- その文を消し、手順1の材料を使って自分の言葉で書き直します。1文でかまいません。
- ざっくりした言い方を具体的な名前に戻します。「お店」を「駅前の◯◯」、「あるアプリ」を実際のアプリ名に、というように。
- 直した文が3つ入ったら全体を読み返します。この段階で手触りが戻ることが多いです。
手順4: 語尾と締めを壊す
- 文末だけを目で追い、同じ語尾が3回続いていたら1つを体言止め(文を名詞で終える書き方。「これが原因。」のような形)か短文に変えます。
- 全部の文が同じくらいの長さなら、どこか1文を10字以下に切ります。緩急が付きます。
- 最後の段落の無難なまとめ文だけを消し、自分がいま思っている一行に置き換えます。
手順5: AIには書かせず、抜けを指摘させる
書き直しまでAIに任せると、また平らな文に戻りやすくなります。指摘だけさせる使い方が噛み合います。
次の文章について、書き手が体験していないと書けない具体が抜けている箇所を指摘してください。
書き直しはしないでください。次の3つだけ出してください。
1. 一般論で埋めていると思われる文(そのまま引用)
2. その文に足りない情報の種類(場面・数字・固有名詞のどれか)
3. それを埋めるために私に聞くべき質問を1つ
(この下に原稿を貼ります)
質問に答える形で自分の材料を足していくと、文章はあなたのものに寄っていきます。
手順6: 毎回同じ好みは設定に登録する
同じ注文を毎回打つのが面倒なら、サービス側に覚えさせられます。登録するのは文体の好みだけにします(「専門用語を使わない」「結論から先に書く」など)。材料は回ごとに違うので、設定には入れず毎回渡します。
設定の場所はサービスごとに違い、同じサービスでもスマホとパソコンで項目名が変わります。ChatGPTのスマホ・パソコン別の手順は ChatGPTに聞いても思った通りの答えが返ってこない にまとめています。同じ役割の欄は、Gemini が「Gemini へのカスタム指示」(公式ヘルプ)、Claude が設定の中の、すべての会話に適用される指示欄(公式ヘルプ(英語))です。Gemini のカスタム指示は個人の Google アカウントでのログインが必要で、仕事用・学校用・管理対象(保護者や組織の管理下にある)のアカウントでは使えず、Gems など一部の機能にも適用されません(2026年8月時点)。
それでもAIっぽさが残るとき
味気なさは文体の問題に見えて、多くは材料の欠落として表に出ます。直す場所が分かれば、下書きをAIに任せても、自分の文に寄せ直していけます。